2022/05/17 00:46

こんにちは😃

採血先生Xです。

今日のお題は【採血途中で血が止まる原因と対処について】です。

採血の途中に血液の流入が止まると不安になりますよね。

新人の頃は、血が出ないとテンパってしまって、針先を動かしすぎて血管を突き破り内出血させてしまったり、針が抜けてしまったりすることもあるのではないでしょうか?


血液が途中で出なくなる(止まる)原因には、針が血管を突き破っていることや血管壁に針先が当たっていること、血管から針が抜けかかっていることなどが考えられます。

冷静に対処していくことで、安全に採血を成功させていきましょう。

他の解説サイトにはないレベルで説明していきます。


採血途中で血が止まる原因と対処法①血管を突き破っている

まず、穿刺した時点で翼状針のチューブ内にほんの少しの逆血が見られ、採血スピッツをホルダーに差し込んでも血液の流入が見られない場合は、血管を突き破って穿刺している可能性があります。

針の角度を変えたりしても流入してこない場合は、針をゆっくりと引いてみてください。

血液が流入し始めたら針を引くのをすぐに止めましょう。

血腫が生じていないこと患者さんに痛みが出ていないこと血液の流入がスムーズであることを確認したら、そのまま進めていただいて大丈夫です。

しかし、あまりにも血液の流入が遅すぎる場合は、翼状針のチューブ内で凝固してしまう可能性や、溶血をしてしまう可能性があり、検査が正確に行えません。

また、血腫ができ始めたらすぐに針を抜いて止血をおこなってください。

血腫は痛いだけでなく、治癒するのに2週間ほどかかり患者さんの負担になります。

余談ですが、採血を始めたばかりの時は、穿刺した状態を保とうとして、翼部分から手を離すのが怖いという人もいます。

翼状針の翼の部分をつまんだまま持って固定していると、知らない内に手の力で針先が進んで、血管を突き抜けてしまうこともありますので注意してください。


採血途中で血が止まる原因と対処法②血管壁に針先が当たっている

静脈の血管壁に針先が当たってしまっている、これが一番よくある原因ではないでしょうか。

血管壁に針先が当たる要因として、静脈の怒張圧に対して採血管内の陰圧が強すぎること穿刺後に翼状針が傾いてしまった血管の太さと針の太さが近いことなどがあげられます。

まず、静脈の怒張圧に対して採血管内の陰圧が強すぎてしまう場合についてです。

これは血圧の低い方(痩せ型の超ご高齢の方や若い女性、脱水症状のある方)を採血している場合や適切な駆血圧で駆血できていない場合において、採血管の大きさに対してたくさん量の入る採血管(9mlの生化学スピッツなど)をホルダーに差し込んだ時にスピッツの陰圧が強すぎて血管の内壁を針先が吸ってしまい、途中で血液の流入が止まったりブブブと針先が振動する現象が起きたりします。

針先が振動するということは、針先が血管壁にひっついたり、離れたりしている状態です。

そのまま採血を継続すると、流入の際に赤血球が潰れてしまい溶血することがあります。

こういう場合は、陰圧の弱い採血スピッツを代用してみてください。

例えば、9mlの生化スピッツを用いていた場合は、4mlの生化スピッツを用います。

ただし、検査項目により、4mlで検査が出来なさそうであれば4mlを2本分採取するなどの対応が必要なので注意してください。

続いて、穿刺後に翼状針が傾いてしまった場合についてです。

翼状針は袋から開封する前、くるくると巻かれた状態で封入されている場合が多いのですが、翼状針のチューブにくるっとした癖がついています。

穿刺した後、翼状針の翼部分から手を離すと、チューブについている癖により、右か左に翼状針が傾くことがあります。

血管の走行と傾き具合によって、針先が血管の内壁に当たってしまい、これも途中で血液の流入が止まる原因となります。

そういう場合は、翼状針の傾きを真っ直ぐもしくは反対(右なら左、左なら右)に変えてみてください。

続いて、血管の太さと針の太さが近い場合についてです。

少し細めの血管だけど21Gで穿刺した場合や極細血管を穿刺している場合に、針先と血管の内壁が近すぎることが原因で、血管の内壁に針先があたり、途中で血液の流入が止まってしまうことがあります。

当然、極細血管を23Gで採血している時にも起こりうることです。

しかし採血において溶血を避けるため、23Gよりも細い針を用いることは推奨されておらず、23Gで採りきるしかありません。

血液が出なくなってしまった場合は、先程と同様に陰圧の弱いスピッツに変えてみてください。それでも流入がなければ、固定はそのままで穿刺部から3センチほど遠位側の皮膚を下方に軽く引っ張ってみてください。

それでも流入が見られなければ、翼状針の翼と翼の間の部位を真上からそっと指先で押してみてください。(たまに、針の部分を押さえる人がいますが、清潔を保つべき針の部分は押さえないでください。)

イメージとしては、針先と血管の内壁にスペースを作る感じです。


採血途中で血が止まる原因と対処法③針が血管から抜けかかっている

採血中の固定が不慣れな場合に起こることが多いです。

翼状針のチューブにも重みがあり、固定がされていないと、採血管の抜き差しだけでもブラブラしてしまうくらいです。

また、患者さんは採血で針が刺さるまでは背筋を伸ばしてくれたりしますが、採血中にどんどんと背中が丸まり、後ろに下がっていってしまう方もいます。

そういう場合に血管から針が抜けかかってしまう事も が考えられます。

特にご高齢の方は、基本的には猫背で皮膚の弾力が乏しく、皮膚が伸びやすい傾向にありますので、採血中もしっかりと固定することが必要です。


血液の出方が悪くなった場合は、針先は血管壁のどこにどういう風に当たっているのかというイメージを常に持つことが重要です。

しかし、手元ばかりに気を取られて、患者さんの顔色や具合を確認できずに、VVR(血管迷走神経反射)を起こして倒してしまったり、あとあと痛みが残ってしまったりといった事故に繋がりかねません。

患者さんの観察や声かけなど、臨機応変に行うことも大切です。


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